2006年10月18日

JICA「コミュニティ開発」研修 in 中津川(10月10〜13日)



あいあいネット事務局の島上です。10月10日〜13日、JICA「コミュニティ開発」の研修生(10カ国18名)と山形県飯豊町中津川地区を訪ねました。中津川は11000ヘクタールもの共有林(財産区有林)をもつ地域。中津川の人々は広大な山林をどう利用・管理し、地域づくりに役立ててこられたのか。それを学ぶのが今回の現場研修の目的です。
6月の「いりあい交流」でお訪ねした地域でもあります(中津川に関してはブログの1/18, 6/14(1), (2), (3)をご覧ください)。

「私たちは貧しい人たちのために働いているのです!」
「訪ねる地域は貧しいところですか?」
そんな声が東京での研修時に研修生の中から出ていたとのこと。
立派な建物やインフラだけに目を奪われて、「わぁ、ぜんぜん貧しくないじゃん。日本は豊かだぁ」で終わってしまっては、研修にも、(さらに目指すところの双方向の)“まなびあい”にもなりません。表面的な状況は異なっていたとしても、「コミュニティ開発」の課題の核心は共通している、と実感してきたからこそ、あいあいネットはこの研修の企画・実施に関わってきたので、ふんばりどころです。

とはいえ、日本の山村や森林・林業の現状、入会慣行、日本の地方行政制度と市町村合併、過疎や少子高齢化の進行etc.の背景が共有できていないと、財産区の意義や中津川の取り組みの核心がなかなか理解できないだろうことも確かです。来日して1週間の研修生の皆さんとどこまで深い議論ができるのか、気合をいれて3泊4日の現場研修スタート!!

4日間の主なメニューは、中津川の概要説明→入会・財産区制度の概要説明→中津川:森と人の関わりの歴史→中津川財産区の取り組み→雪室、古民家の見学→中津川の地域づくりの取り組み→白川集落訪問・交流→「源流の森」の取り組み→まとめのディスカッション、でした。

飯豊山を背景に.JPG

飯豊山を背景に記念撮影


結論からいうと、予想以上に深い議論・交流が展開しました。核心をつく鋭い質問も飛び出しました。

「子どもに全然会わないのはなんでー?」「若い女の人にもあってないわー」
「こんなに道路もいいし、設備もいいし、こんなにいろんな組織がいろんな取り組みをしているのに、なんで若い人たちが都会にでていっちゃうの?」?????

実際に歩いて、見て、地元の方々の経験を直接聞くことのインパクトは、教室でのどんな研修よりも大きかったようです。日本人でもはじめはちょっと混乱してしまう、集落、村、財産区、町、県などなどの違いも、実際に訪ね、お話を聞く中で、混乱することなく整理されたようでした。

白川集落にて.JPG
白川集落で地域通貨の試みを伺う

古民家で昼食.JPG
古民家で昼食

中津川での研修のテーマは「地域自然資源の共同管理を通じたコミュニティ開発」。中でも大きなポイントは、斬新かつ現実に根ざした森林経営をはかることで、森林保全と住民福祉の両立を目指し、実現したきた中津川の歴史です。大正時代の部落有林統一と燃料林制度、そして今検討されている木質ペレット導入構想はそれを象徴しています(詳しくはこちらを参照)。

研修生の質問が集中したのは、そんな中津川の試みが、行政やNGOなどの発案によるものではなく、地元から生まれ、地元のイニシアティブで進められてきたんだ、ということ。どこの国も、行政・NGOがコミュニティに何かを持ち込むのが当たり前、という感覚が強いためか、目からウロコ、でもホントにホント?、もっと知りたい・聞きたい・・と質問が続きました。

「どうやってアイディアが地元からうまれたんですか?」(識字率が高いから??)
「いいアイディアをもった人がいたとして、その人はどうやって他の人たちをまきこんでいったの?」
「行政やNGO(外部者)はどんな役割を果たしたんですか?」
「地元からのアイディアと国の政策との整合性はどうやってとったの?」などなどなど。

そういったギモンに対して、地元の方々からは、
「ないものねだり」から「あるもの探し」→「あるもの活かし」で発想してきた。固定観念に縛られてはダメ(やっかいものとしか思っていなかった「雪」を利用したスノー・フェスティバルや雪室の例など)。
共通の夢、一体感を創り出すことが何より大切。誰かが突出するのではなく、関わる人がそれぞれの立場で、これは自分がやったんだー、と思えるようにすること。
外部者は風のようなもの。暴風雨のような風(ダム建設など)もやっかいだけど、あんまり弱くてもよい変化はうまれない。
といったようなポイントが返されました。

安部さん.JPG
「アイディアを発想する秘訣はね、『自分の言ったことに責任を持たないこと』(笑)と『他人の言うことを否定しないこと』ですよ」と安部さん(緑のふるさと公社)。

議論がしたりなかったかな、と思われるのは、地元のイニシアティブと政府の政策との整合性・連携・シナジーといったあたりです。特に、行政の立場にある人たちは、もっとこのあたりを議論したかったようです。外部者はどう地元主体の地域づくりに関わっていけるか、といった点もじっくり話し合うには時間切れとなってしまいました。

総じて、中津川では「地元からの視点」を中心に議論がもりあがりました。もう一つの現場研修地である紫波町は、主として町が先導して循環型地域づくりを推進してきた地域。「外部者(行政)からの視点」「政策との整合性」あたりをジックリ議論・交流できるのでは、と思います。10月17〜18日は紫波町を訪問中。報告をどうぞお楽しみに。

研修中は、全員、「緑のふるさと公社」が経営するコテージ木湖里館に宿泊、食事は毎食、ホテル・フォレストいいでにお世話になりました。イスラム教徒の研修生にとっては丁度断食月にあたっていましたし、日本の味にどうも馴染めない、、という人も多かったのですが、ホテルの若い料理長さんが毎食工夫をこらした献立を考えてくださって、毎回ほぼ完食の勢い。全員、大満足&心温まるサービスに大感謝でした。

晴れ女・晴れ男がいたのか、3泊4日とも晴天にめぐまれました。紅葉間近の飯豊連峰、白川湖の絶景に長旅の疲れもしっかり癒された様子でした。

ジュース.JPG
バイキングの朝食にはすべて英語の説明。ホテルの皆さんの気配りに感激!

タコジイとチリのホセミゲルさん.JPG
4日間ずっとつきあってくださったタコジイ(織田洋典さん)とチリのホセミゲルさん。「チリに来てくださいね!」

花笠音頭2.JPG
「各国の歌と踊りを交換しよう!」と盛り上がった2日目の夜。
最後の締めは、研修でお世話になった三森さんについて山形名物・花笠音頭!

源流の森センターの前で.JPG
お別れの記念撮影。源流の森センターの前で。

10カ国18名の研修生を温かく受け入れてくださった中津川の方々、どうもありがとうございました!
posted by あいあいネット at 14:11 | 東京 🌁 | Comment(0) | TrackBack(0) | 地域づくりネットワーク | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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