2006年07月23日

PKPMウィークリー報告(5)



今週は西ヌサトゥンガラ州ロンボク島への出張でした。同州東ロンボク県でPKPMの国内研修(ファシリテーター養成・モニタリング編)が行われていて、その最終日には、マスターファシリテーターたちとのミーティングがあって、そこに参加してきました。

研修はソムニードの和田信明代表と原康子さん(インド駐在代表)がファシリテーターを務めていて、「住民主体のモニタリングとは何か」を考える上で大変興味深いのですが、それは別の機会に紹介しましょう。またマスターファシリテーターとの会合では、これまで3週間にわたって彼らが活動する7つの村をまわってきた中田さんによる「自己評価ファシリテーション」の報告もあり、PKPMが村にどのようなインパクトを与えているのか、という面で大変おもしろかったです。これについてもまた後日まとめて報告することとして、今週のトピックは東ロンボク県で活動する地元NGO・YMPとその代表・エレナさん(PKPMマスターファシリテーター)です。●ペットボトルで飲料水を作る

エレナさんはジャワ島出身の女性で、ご主人の仕事の関係でロンボク島に引っ越してきました。お子さんは16歳と11歳。10年ほど前から東ロンボク県の県知事秘書室で働いていましたが、ある時「ペットボトルを使って清潔な飲み水を作る」という活動を知りました。これは彼女の出身地でもあるジョクジャカルタを本拠に活動するNGO・ディアン・デサが開発した手法で、要するに熱帯地方の有り余る日光を使って殺菌をして飲料水を作る、というものです。SODISというプログラムとして、UNICEF等が支援して普及を行っており、エレナさんはこれを東ロンボク県でもやろう、と考えました。さっそく県知事に話をして、保健所と協力し、県の予算を使って活動を開始しました。村ごとにボランティアを養成して、ペットボトルによる殺菌法を普及していくのです。そのうちにディアン・デサを通じて外国のドナー(資金援助団体)から資金を得るようになり、20以上の村で普及活動を展開するようになりました。

●PKPMとの出会い

エレナさんはこの活動をする傍ら、2003年からは県知事秘書室を辞めて、コンサルタントとして働き始めました。オーストラリアの国際援助庁によるCRAPというプログラムで、村人が皆で議論をして自分たちの村の問題を見つけ、その解決のために援助金を出す、という活動です。彼女は南スラウェシ州を担当していたのですが、2004年6月、PKPMの短期専門家・和田さんと出会いました。和田さんはPKPMの現地専門家であるアスハル氏と一緒に南スラウェシ州・ジェネポント県の村を訪問したのですが、それが彼女が担当する地域の村でした。その時、和田さんが村に入って数百メートルを歩いただけで、その村の状況を読み取ってしまうことにまず驚いたそうです。それから和田さんの質問に全く答えられなかったことで、「PKPMっていったい何」と興味を持つようになりました。そして2005年4月、PKPMの国内研修(コミュニティに根ざした課題分析)に参加したことが、彼女を大きく変えたそうです。

それまでエレナさんは、自分の関わるCRAPプロジェクトが、「村人による村の問題把握」を掲げているにもかかわらず、そして26種類もの「参加型」のツールを使って村人の話し合いを促進しているにもかかわらず、村から上がってくる活動が「灌漑水路作り」「家畜の飼育」「小商売」の3つしかないことに、疑問を持っていました。「私たちはいったい、本当に村人の問題にアプローチできているのだろうか」と自問自答していたエレナさんは、PKPMの研修で「村人とパートナーシップを組むこと」と「事実に根ざして課題分析をすること」の2点を学び、目を開かされた思いだったそうです。「これまで自分たちがやってきたことは、問題を外から持ち込んでお金で活動を作るだけだったのではないか」

そう考えた彼女は、仲間たちによびかけて、東ロンボク県でPKPM的な活動を展開することにしました。県の村落開発局とも協働して、県内すべての村(119村)で「村の自主的な活動」を探して、その中でも成功している事例を調べていく、という「村の成功事例調査」を始めました。またPKPMで学んだ手法を活かして、村人による村人のための村作りを応援する活動も始めています。

●YMP(Yayasan Masyarakat Peduli)

エレナさんはSODIS(ペットボトルを使った飲料水殺菌手法)の活動を始めてから1年後、2000年にYMPというNGOを設立しました。2001年からはSODISのためにUNICEFやスイス、オランダのNGO等から資金の提供を受け、事務所も借りて活動を続けてきました。専従のスタッフはエレナさんを含めて3名。そしてPKPMの活動を始めてからは、数名ほど、PKPM的な考え方に賛同して手伝ってくれる仲間がいます。彼・彼女たちは他のNGO幹部だったり、県の職員だったりします。エレナさんは仲間を少しずつ増やしながら、活動を拡大しています。また活動の内容を皆で共有しながら進める、ということにも心を配っており、チームワークも良好です。今やYMPはSODIS実施団体ではなく、より広く地元にネットワークをもち、コミュニティ主体の開発に取り組む団体となりつつあります。

やる気があり、活動が広がり、仲間作りも進むYMPですが、団体としてはまだまだ発展途上です。これは私がこれまで見てきた他のNGOの多くにも言えることですが、ドナーから得られるプロジェクト資金だけで運営しており、自己資金といえるものは殆どありません。そして会計の管理方法も、ドナーのプロジェクトごとに報告を作っているだけで、団体全体としての予算や決算というものは作られていません。
posted by あいあいネット at 06:48 | 東京 🌁 | Comment(0) | TrackBack(0) | インドネシアPKPMからの報告 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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