2006年07月09日

PKPMウィークリー報告(3)



7月8日(土)、18日間にわたる地方出張が終わりました。南スラウェシ州、中スラウェシ州、ゴロンタロ州、東ヌサトゥンガラ州と巡った今回の旅、主な課題は地元NGOの能力の現状とその育成の方向性について、地元NGOの人たちとともに考える、というものでした。

この間、中スラウェシ州パルでは3つの団体の自己評価に参加し、ゴロンタロではLP2G(マスターファシリテーター・ルスディンのNGO)の、東ヌサトゥンガラ州クパンではIncrease(ローカル専門家・ファリーのNGO)の、ケーススタディをそれぞれの団体スタッフらとともに行いました。またマスターファシリテーターのアジスやアンガとも、団体能力育成について話し合いました。

一連のスタディを通じて見えてきた、PKPMにかかわるNGOの持つ課題を一言で表すなら、「Vision Missionへのイニシアティブを維持しながら、いかにして組織化を進めるか」ということになるでしょうか。PKPMはこれまで、コミュニティの「エンパワメント」に向けたファシリテーションを行う人材の育成に努めてきて、能力とやる気のある人たちが少しずつ増えています。しかし、それを持続的にかつ社会的影響力のある形で波及していくためには、NGOという組織がしっかりしていく必要があると思います。そして、その点からは、まだまだ東部インドネシアのNGOは「ようやく一人で歩けるようになった子ども」のような状態です。

今回の報告では、PKPMに集うNGOリーダーの中でも組織作りやネットワーク作りに長けている一人、アルスディン・ボネさんが率いるゴロンタロ州のNGO「LP2G」について見ていきましょう。

◆LP2G(Lembaga Penelitian Pengembangan Gorontalo=ゴロンタロ開発と調査の会)のプロフィール

1999年4月ゴロンタロで設立。設立者は3名だったが、うち2名は大学教員、弁護士であり、実質上はDirectorであるアルスディン・ボネが中心的に運営している。有給職員12名(Director、プログラム担当2名、会計2名、事務1名、フィールド6名)。他に子ども関連の活動にボランティアが4名。主な活動はリンボト湖流域保全(JICA・森林省・州政府のプロジェクト)、ゴロンタロ市ガバナンス改善(Asia Foundation)、給水プロジェクト(CARE)、そして子どもの保護育成(独自プロジェクト)。

◆ルスディンが語る活動の歴史と今後の抱負

設立当初、15人ほどのスタッフで沿岸漁村の調査等を実施していたが、プロジェクトが終了すると皆やめていった。2002年にルスディン一人になった。世界銀行やUNDPのグッドガバナンス関連のプロジェクト(いずれも短期)を受託したのでまたスタッフが増えたが、これも終了すると去っていった。2003年、パユリモというNGOをルスディンの仲間が設立してドナーのプロジェクトへの申請をしたいというので、手伝ったが、結局離れていった。こうした経験からルスディンはLP2Gを組織としてしっかり維持することに力を注ぐべきと考えるようになった。

そこでルスディンは貯金を100万ルピア引き出し、事務所を借り、コンピューター1台と机一つを整えた(それまで彼は協同組合の事務所で働いており、LP2Gの活動もそこでしていた)。そしてよりコミットメントのある友人に仲間になるように呼びかけた。また同時に政府が実施するワークショップやセミナーなどでボランティアとして活動し、顔を広げた。

2003年末に、JICAの森林省派遣専門家から電話がかかってきて、リンボト流域での流域保全プロジェクトの実施を受託しないか、という話がきた。これが初めての長期的なプロジェクトだった(2006年まで)。このプロジェクトの政府側カウンターパートであるBeppedas(流域管理局)とも関係ができ、そこからセミナーや調査、ドキュメンテーション等の仕事が来るようになった。そこから、州や県の開発計画局や農業局、森林局との関係も広がっていった。

2004年にPKPMプロジェクトが始まったが、ルスディンは当初からワークショップや研修に参加した。9月に本邦研修で日本に行き、帰国してからはさらに有名になり、メディアにも出るようになり、いろいろなところから声がかかるようになった。また日本でマネージメントの重要性を学び、会計システムの改善や給料を毎月出せるようにすること等に取り組んだ。

2005年からCAREの給水プロジェクトを受託し(5年)、2006年にはAsia Foundationのグッドガバナンス関連のプロジェクトを受託した(当初は10ヶ月だがその後も続く予定)。ドナーが会計管理を厳しくチェックするので、それにあわせて会計も整理されてきた。またスタッフがバイクを使えるように何台か購入した。スタッフの保険も掛けている。

今後は団体として基金を積んで、財団となり、コミュニティ活動に資金的な支援ができるような力を持つことが大きな目標。また今はルスディンの個人的な信頼で仕事が来ているが、そうでなく組織としての信頼を得ることが課題と考えている。そのためのスタッフ育成を重視したい。またスタッフがLP2Gの組織にオーナーシップを持つようになることも重要。何よりも、ドナーのプロジェクト以外に活動を創造していく能力育成が大事と考えている。

◆LP2Gの組織としての課題

・ルスディンの個人営業的な段階から、組織としての活動への過渡期といえる。有給専従を置き、その活動環境の確保に力を入れている。スタッフの能力育成にも取り組もうとしている。

・活動内容(大半がドナーや政府のプロジェクトを受託)や財政構造を見ても、依然としてドナープロジェクトに依存する傾向が強い。ルスディン自身が述べている通り、自らプログラムを創造する実践が急務であろう。また財政的にも、約10%前後である自己資金比率をいかにして高めていくのか、考えていく必要。

・団体としての年間予算を立てて、会計を団体全体として管理するに至っていないことは、「長期的な展望」と「団体としての方針」に沿った活動作りが出来ていないことを象徴している。中期的なビジョンと活動戦略、それに沿った年間活動計画と予算作りが必要とされる。

・地方行政に信頼され、ドナーからのプロジェクトを受託することができるのは、その能力の証しとは言えるが、「持ち込まれるプロジェクトをこなすのに精一杯」という状況になりつつある。団体の目指す方向性に沿って、NGOの側から政府やドナーに活動や政策を提案していくことが重要ではないか。

以上が私から見たLP2Gの課題ですが、なんか、我々「あいあいネット」とも共通する課題もあり、身につまされる点でもありますね。
posted by あいあいネット at 14:00 | 東京 🌁 | Comment(0) | TrackBack(0) | インドネシアPKPMからの報告 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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