2006年07月01日

PKPMウィークリー報告(2)



6月25日〜30日、中スラウェシ州パルでの活動でした。中スラウェシ州は「いりあい交流2006 in Japan」で来日したヘダールさんたち一行が住んでいるところですが、今回はそれとは別、PKPMプロジェクトのお仕事でした。

ここパルにはPKPMの一連の研修で学んだ「マスターファシリテーター」の一人、アジスがSantigi InstituteというNGOを仲間と作って活動しています。村人と話すのが大好きな彼は、州都パルから車で6時間ほど北に行った海沿いの村で、自然資源管理を中心に据えた村の活動を支援しています。ただ、今回は昨年6月に彼がJICA研修の一環で日本を訪れた際に得た着想で、「NGOの組織能力自己評価」をパルで活動するNGOの仲間たちとやる、ということで、それに関するアドバイスを行いました。

この国のNGO、特に東部インドネシア地域のNGOは歴史が浅いものが殆どです。中央集権で独裁的な政権だったスハルト体制では、自由なNGO活動ができませんでした。90年代後半以降の民主化と地方分権化の流れの中で、多くのNGOができ、また90年代末の「アジア経済危機」をきっかけに先進国から多量の援助資金が流れる中で、そうした援助プロジェクトの「下請け」としてのNGO、という構図ができてしまいました。

そうした中で、「ドナーの描いた図に従って、外からプロジェクトを村に持ち込むのでは、本当の意味での住民主体の地域づくりは出来ないのでは」と気づきはじめたNGOがあり、PKPMはそうしたNGOリーダーたちの能力向上に務めてきました。しかし、個人個人が新しい考え方や技術を得ても、それを組織として活かして活動に繋げていかなければ、持続的かつ社会的にインパクトのあるものになりません。その意味で、「NGOが持続的に自分たちのやるべきことを独自に実現するための組織能力」をつけていくことは、「住民主体の地域づくり」を外部からファシリテートする存在として、不可欠の条件と思います。

こんな背景から、アジスたちパルの仲間は、「私たちの団体がいったいどんな組織的な課題を抱えているのかを自分たちで診断しよう」と考え、日本で行われているNGOやNPOの組織評価手法なども参考にしながら、ミーティングを重ね、独自の評価手法を作ろうとしています。そこでは、「組織のビジョン・ミッション・目的」「マネージメント」「ボランタリズム」「ネットワーク」「地域資源の活用」という5つの柱をたてて、それぞれに必要な能力を文章化し、それに沿って現状を把握する、という方法がとられています。

今回は、そうやって作られた評価手法ドラフトを、実際にいくつかのNGOで試してみよう、となりました。3つのNGOで試してみたのですが、それぞれの能力を判断する客観的な基準が不明確で、事実でなく評価するスタッフの主観的な考えに偏ってしまう、という弱点が見られました。私からは、「NGOが理想とする姿とは何か」「その理想的な状態はどういう客観的な基準で計れるのか」「実際に今の私たちの状態はどうなのか」という3段階で、NGOスタッフたちが話し合いをしながら評価していく必要がある、とのアドバイスをしました。また今回は全部で50以上の指標が出されましたが、話し合いをしながら自己評価をしていくには、それでは多すぎる。「NGOがNGOとして自主的・持続的に活動をしていうために絶対に必要な能力とは何か」を絞っていくべき、とも話しました。

私の個人的な経験からは、「NGOにとって重要なヒトとカネをどこからどういうふうに集めているか」「組織の目的を実現するための現実的な戦略が立てられているか」「活動に必要なノウハウや技術が蓄積され共有されているか」というのが、組織にとって一番大事な基盤と考えています。もちろん、そうして得られた/作られた資源と戦略・技術をどのように活用していくか、というマネジメントも重要ですが、その前に、そもそもの大前提として、資源と戦略と技術をしっかり持つことが大事では、と考えるのです。

今のインドネシアのNGOはこの視点からは、あまりにドナーの資金や戦略・技術に頼りすぎている、と思うのです。自分たち独自で資金を集め、社会の様々な層からの人的支援を得ること。そして自分たち自身で社会を分析して目標達成のための戦略をたて、それを実現するために必要な技術を自分たちで開発していくこと。こういう動きをどう作っていけるかが、この国のNGOの将来、ひいては市民社会セクターの健全な発展にとって重要ではないか、と思っています。

パルでは、今回の試行をもとに、NGOの仲間たちが評価手法をさらに発展させていく予定です。来週もまた、ゴロンタロ州および東ヌサトゥンガラ州で、地元NGOの組織能力をテーマに活動します。
posted by あいあいネット at 13:50 | 東京 🌁 | Comment(0) | TrackBack(0) | インドネシアPKPMからの報告 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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