2010年04月12日

日本の国立公園の協働管理を学ぶ -JICAインドネシア研修



皆様、こんにちは。
しばらくぶりのブログ更新となってしまいましたあせあせ(飛び散る汗)

3月8日〜19日にかけて、JICAのインドネシア「国立公園協働管理」研修をあいあいネットで受け入れました。

来日したのは、インドネシア林業省の幹部3名です。

常夏の国インドネシアから来日した翌日、北海道の釧路・知床へ。寒波が押し寄せていた道東は、強烈な寒さと雪でした…

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写真は全身凍りそうになりながら、摩周湖見学に行った時の様子です。

インドネシアの国立公園では近年、国による一元管理を改め、様々な関係者との協働管理を目指す政策転換を行いました。しかし、多くの国立公園では公園内に住む住民と公園職員との間の協働関係は、未だ築かれていないそうです。

今回は、事業執行や予算立て、人材育成などに強い影響力を持つインドネシア林業省の幹部3人が、自然保護と暮らしの向上の両立をどのように実現するのか、国立公園側は地域社会にどのようにアプローチして協働関係を作っていったらよいのか、世界的にもユニークな日本の国立公園協働管理の経験から学び・考えていきました。

雪雪雪雪

北海道に行く前に、まずは環境省国立公園課より、日本の国立公園制度の概要を伺いました。

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国立公園課「日本は国有林、私有林などの土地所有に関わりなく地域を指定する、地域性の公園であることが特徴的です。日本の国立公園は、必然的に公園内の土地所有者や住民の協力を得なければ管理できないという状況にあり、このことから、日本独自の協働管理という形が作り上げられました。」

他にも、国立公園を支える人員体制、職員の育成について、環境省と関係者(林野庁、地方自治体など)の協力関係についてなど、お話を伺いました。

その後、一行は飛行機で釧路へ飛行機

3泊4日の北海道での研修では、釧路自然環境事務所、釧路湿原自然再生協議会、猛禽類医学研究所、鶴見台、斜里町役場、知床財団、ウトロ自然保護官事務所を訪問させてもらいました。


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こちらは、斜里町役場でのひとコマです。斜里町役場では「100平方メートル運動」などについてお話を伺いました。

100平方メートル運動というのは、知床国立公園の入り口にあたる部分の土地について、拓かれてそのままになっていた土地を大手業者による乱開発から守るために、町が日本ではじめて、全国から募金を募ってその土地を買い取って保全した運動です。土地を買い取った後も地元が主体となって自然保護活動に長年取り組んできたのだそうです。

続いては、釧路湿原国立公園内の鶴見台を訪れた時の様子です。

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鶴見台では、露木自然保護官に案内して頂きました。

絶滅したと思われていたタンチョウがここ釧路湿原で見つかった時、保護活動は民間が主導になって進めていったのだそうです。特に一人のおばあちゃんが給餌をずっと続けていることについて、研修員は感銘を受けていました。

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釧路湿原では、釧路湿原自然再生協議会の新庄会長にもお話を聞かせてもらいました。「インドネシアでは行政と住民との対立が少なくない」という研修員の言葉を受けて、新庄会長はご自身の経験を以下のように話してくれました。

新庄会長「日本でも、住民との協働には大変時間がかかる。私自身、1970年からこの仕事をしているが、昔は住民との対立もいっぱいあった。やっとここまで来た、という感慨がある。私が最初にやったのは、まず地元の人たちと友達となること。一緒に食べたり、泊まったりして。これに何年もかかる。大切なのは、現場に行って、人々がどんな生活をしているか、どんな問題があるか、何が一緒にできるかを見つけていくこと。そのためには、何よりも、友達になること。何か一つでも一緒にできることをPilotとしてやること。禁止だけではだめ。利用できる場所もある、というZoningも重要。それを、時間をかけて地元の人たちと一緒に作っていくこと。私の存在は、行政と住民の間を繋ぐ役割。これが大事だと思います。」
 
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北海道では慣れない雪道の中、色々な所で様々な方に会い、話を伺った4日間でした。

そして一行は東京へ。

東京に戻ってきた後も、共栄大学の高橋教授、関東地方環境事務所、自然公園財団、国立公園協会、環境省環境調査研修所、静岡の田貫湖ふれあい自然塾を訪れて、様々な立場の関係者から公園の協働管理について伺いました。

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上は田貫湖ふれあい自然塾を訪れた時の様子です。澤栗自然保護官からは、施設の概要と活動内容、運営体制について伺いました。また、澤栗自然保護官のお仕事にも研修員は関心を持ち、住民との協働で苦労した話、仕事で受けた研修の内容、レンジャーとして大変だったこと等、色々と聞かせてもらいました。

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そして、田貫湖で記念撮影。
寒さから解放されたからか、柔らかな表情をしている気がします。

最終日は、環境省の職員さん達、今回の研修でお世話になった方に集まって頂いて、意見交換会を開催しました。

まずは研修員の方から、今回の研修で学んだ事とインドネシアの国立公園協働管理に向けた提案を発表しました。

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研修員「先輩・後輩の間での経験交流や、後輩がいつも先輩に相談しながら仕事をしている、という日本の実例はとても参考になりました。そのプロセスには、既にフィードバックもあります。まずこれを研修の場で実践していこうと思います。」

研修員「インドネシアはどうしてもトップダウンで物事を進めてしまいます。同じ目線にたつ、人と自然との共生、という考えはとても大切だと思いました。」

参加して下さった日本側関係者からは、次のような感想が寄せられました。

「インドネシアにおける人材育成を真剣に考えておられることを感じてとても嬉しかったです。その姿勢が学びに繋がったのだと思います。インドネシアで実践されたら私達もその経験を役立てたいので、ぜひフィードバックしてください。」

「2週間の短い滞在にも関わらず、また日本の制度はわかりにくいのですが、簡潔に日本の国立公園制度と環境省による協働管理についてまとめられていて、よくここまで出来たと思います。」


そして最後に修了証の授与。

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「良い研修だった、満足している」との感想を残して、研修員はインドネシアに帰国しました!
posted by あいあいネット at 12:27 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 地域から学ぶ研修事業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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