

講師はおなじみ、参加型開発研究所主宰の中田豊一氏です。
長年国際協力の現場で、村の人やNGOスタッフたちと共に歩んできた中田氏から、ご自身の経験やファシリテーションの達人たちとの協働を通じて築きあげられたファシリテーション術を、今回も実技を交えながらじっくり学びました。
今回の受講者は6名。国際協力や社会福祉に携わっていらっしゃる方々でした。
受講者のお一人Aさんは、社会福祉のお仕事をされていらっしゃる方。「利用者さんやそのご家族との関係づくりの中で、社会福祉の世界でも最近、ファシリテーションの考え方が注目されています」
との事でした。
アジアやアフリカの村の人だったり、施設の利用者さんだったりと、接する相手は様々でも、その相手が自らの力で動こう!、変わっていこう!とする気持ちを引き出したい、応援したいという気持ちは同じなのだと感じました。

言われてみれば至極もっともな事ですが、相手の深層心理や行動原理を理解しなければ、その人の本音も見えてこないし、変化を引き出したり側面からのサポートもできません。人間科学に基づいた中田氏のファシリテーション講座は、うわべだけではない、人間というものの本質を踏まえてファシリテーションを実践しようとするものです。
例えば、相手の本音を引き出したい場合、相手の自尊感情(セルフエスティーム)を高めるということが、一つのキーワードになります。
人は自分よりも優れている、力がある、優位な立場にある人に対しては、自分自身に自信が持てなくて本音を言えなかったりします。つい、相手が喜びそうな回答をしてしまったり、世間体の良い回答をしたり。
私たちが途上国の村に行く時、多くの場合はプロジェクトのお金を持っていたり、地方政府や現地有力者とすでに知りあいだったりと、こちらは意識していなくても、村の人は私たちの事を力のある人だと見ていることが多いはずです。
“村に入った時点で相手とは対等な関係ではなく、相手は本音を言いにくい心理状態にある”
このような状況の中で、相手の自尊感情を高めて、相手から本音を引き出すにはどうしたら良いのでしょうか?
講座では、自尊感情を高める方法を学び、その実習もしました。それは難しいことではなく、相手の気持ち・心理を理解してこそでき、日常生活の中でも訓練、応用できるものでもありました。

今回の3日間で他にも、ファシリテーションの基本的な考え方、1対1のファシリテーションの仕方、グループでのファシリテーションの仕方など様々なことを学びました。
受講者の皆さんは最後に、こんな感想を寄せてくださいました

Aさん「“対人援助”の世界で今までやってきましたが、今回の講座で基本的な考え方が変わりました。今回は組織の中のリーダー像に迷いがあって参加しましたが、私なりのリーダー像が見えるようになりました。」
Bさん「講座内のペアワークを通じて身についたと思います。習った理論を実践を通じて磨いていきたいと思います。」
Cさん「今まで何かを実践する時、やってうまく行くのかな?と、いつも消極的でした。今回の講座はそれを破るきっかけになると思います。自分の殻を破って、ファシリテーターが見えてくるのかなと思います。」
Dさん「事実質問をするテクニックなど、仕事だけではなくプライベートの人間関係でも活かすことができそうです。」
Eさん「講座に参加して、一緒に取り組む仲間の大切さに気付きました。」
受講して下さった皆さん、講師の中田さん、どうもありがとうございました!